【つくば市】株式会社アイクス「ハカドリ」で農場運営の省力化・省人化へ
株式会社アイクス(茨城県つくば市)は2025年2月16日、「勘と経験をデータ化する」ことで農業の現場に革新をもたらす収穫量記録支援システム「ハカドリ」の提供を開始した。現場の声をもとに開発を進めた結果、誰でも簡単に扱えるスマート農業の第一歩となるツールを世に送り出したという。
同システムは、栽培列や品種などの情報が登録されたQRコードをスキャンして計量器に載せるだけで、収穫量が自動的に記録される仕組み。従来のような手書きや目視による作業は不要であり、計量データは即座にアプリへ送信される。作業時間は2秒で、現場の負担を大きく軽減する仕組みとなっている。
また、データは自動的に集計され、グラフ化も可能で、Excel形式での出力にも対応している。これにより、収穫記録をもとにした作業者の評価や人材配置の最適化が進み、経営判断に役立つ材料となる。さらに、作業動線までもデータとして可視化できる特許申請中の機能を備えており、作業の偏りや非効率さを客観的に把握することができるようになった。
同システムの特徴は、単なる機能性にとどまらない。初期費用34,500円(税込)、月額利用料14,980円(税込)という手の届きやすい価格設定により、ITに不慣れなスタッフや中小農家でも導入がしやすい点にある。実際に導入した農園では、収穫実績が可視化されたことで出荷準備や資材管理が容易になり、品種選定の判断材料としても役立っているという。
現場の生の声を反映し、シンプルな操作性と実用性を追求して開発された同システムは、農業現場の省力化と省人化の要望に応えるソリューションである。政府が2030年度までにスマート農業の活用割合を50%以上とする目標を掲げる中で、その導入障壁のひとつとされる「高額な初期費用」や「ランニングコストの高さ」といった課題にも応じた形で開発された。
今後は、生産現場と販売現場をつなぐ機能や、原価管理、さらにはAIを活用した工程管理や作業改善といった新機能の追加も視野に入れている。また、農業以外の分野への応用も計画されており、2025年度中には生鮮卸業界向けバージョンのリリースも予定されている。