豊かな自然と命を守る!那須塩原市で2つのクラウドファンディングが始動
栃木県那須塩原市は、2025年7月10日から10月7日まで、2つのクラウドファンディングプロジェクトを実施。地域課題の解決に取り組む。
同取り組みは、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディング型の仕組み「ガバメントクラウドファンディング」を通じて行われ、国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンク(東京都品川区)が提供している。
ひとつ目は「日光国立公園・那須塩原の美しい湿原を、シカの食害から守るために」で、目標金額は100万円。現在、那須塩原の湿原は、ニホンジカなどの動物による食害によって激減している。特に大沼園地では、多くの貴重な植物が失われ、森林景観が悪化している。
これら植物の生育を保護するため、湿原の外周に「シカ侵入防止柵」を設置。野生動物の侵入を防ぐ取り組みが進められている。柵の定期的な点検や修繕などは、塩原温泉ビジターセンターのボランティア会員が地道に行っているが、継続的な費用と維持管理が不可欠。寄付金は、破損したネットや支柱の補修費、点検・修繕に必要な道具の購入費、そして植生回復状況をモニタリングする調査費に充てられる。
目標金額に達しなかった場合も全て本事業に使用され、目標を超えた場合には、市内の他の湿原保全事業や、生物多様性の回復に資する環境関連事業に活用される。
もうひとつのプロジェクトも目標金額は100万円で、「人と動物が安心して暮らせる街にしたい」がテーマ。犬猫の避妊・去勢による共生を目的としている。現在、飼い主のいない猫の増加や、飼育放棄された犬の放浪化など、近隣住民とのトラブルが相次いでいるにもかかわらず、保護団体が対応できる頭数には限りがある。市では、避妊・去勢手術への助成制度を実施しているが、1世帯あたり年2頭までという制限もあり、対応としては不十分な状況だ。
飼い主のいない犬や猫全てに避妊・去勢を推進し、無計画な繁殖の防止や、性ホルモン由来の病気・攻撃行動の抑制につなげ、人と動物が共生できる環境づくりを目指していく。寄付金は、犬および飼い主のいない猫への助成金として使用され、目標額を下回っても上回っても、同事業に充てられる。