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【群馬・前橋】「年収1000万円・ワークライフバランス・社会人野球との両立」富士機工株式会社が目指す、一人ひとりのキャリアに寄り添う建設会社とは!?

 群馬県前橋市で建設事業を営む1978年創業の富士機工株式会社。同社は関東圏を中心に商業施設などの業務用の冷蔵・冷凍ショーケースや空調設備の設置・撤去などを行っており、歴史ある設備据付工事会社として地域を支える存在だ。現在は2代目の須田 昂洋社長が2年前に事業承継し、新たな建設会社のモデルを目指して同社の組織・人事改革に取り組んでいる。今回は須田社長に、改革に取り組む背景と前橋の建設会社としてどのようなモデル企業を創りたいか、その想いとビジョンを聞いた。

富士機工株式会社 代表取締役社長 須田 昂洋さん (提供写真:富士機工株式会社)

富士機工株式会社2代目社長の挑戦! 『給与も休日も、地域貢献も。全社員が誇れる会社をつくる』

今年で30歳を迎えた須田社長は大学卒業後、家業である富士機工株式会社に入社。現場作業から営業・管理業務まで幅広く経験を積み、28歳で創業者の藤崎会長から事業を承継。2代目社長として現在、組織・制度改革に着手している。

「大学まで野球部に所属していたので、引退後も野球を続けられる環境を探しながら当時は就職活動をしていました。そのときに祖父が経営する富士機工株式会社のことを知り、実家に貢献しながら地元のクラブチームで野球を続けたいと思ったのが入社の決め手です」と須田社長は語る。当時は会社の業務内容もほぼ知らず、経営の勉強をしてきたわけでもなかったという。「父はサラリーマンで、自分自身も野球中心の生活。経営や建設関係の知識は全くありませんでした。ただ、どうせ働くなら家族の力になりたい。その気持ちだけでこの道を選びました」と笑顔を見せる。

現在、須田社長は組織改革を慎重かつ大胆に進めている。その背景には、物価高騰や建設業界の人手不足など厳しい状況の中でも、『働く社員が誇れる会社』にしたいという強い思いがあるからだ。須田社長は、5年・10年後を見据えて以下の3つの取り組みを強化する計画で取り組んでいるという。

①従業員の給与アップ
②休暇を取りやすい職場環境の整備
③誇れる会社作り

「今は社員旅行などの福利厚生よりも、給与や休暇を増やす方が社員に喜ばれる時代だと思っています。ワークライフバランスを重視する人は、年収500-700万円で休暇をしっかり確保。たくさん働いて給与を上げたい人は、30〜40代で年収1000万円以上を目指せる環境を提供する。未経験者が育つ環境はあるので、今後は給与や休日は一人ひとりが求める形に調整できる会社を目指して取り組んでいます」と、社員の働き方に寄り添った組織改革のビジョンを話す。

前橋市に根づき、新たな建設会社のモデルを目指す

野球クラブチーム 「富士機工M.KIDS」を通じた地域支援 前橋のスポーツ文化を育み、働きながら野球を楽しむ選択を広げる

須田社長は3つ目の取り組みである「誇れる会社づくり」に向けては、働く環境の整備だけでなく、地域貢献活動の重要性も強調する。その一環として、富士機工株式会社では、地元スポーツを中心に多くの支援活動を展開している。女子バレーボールトップリーグのチーム「群馬グリーンウイングス」や、小学生ミニバスケットボール大会「前橋中央ライオンズクラブカップ」へのスポンサー支援、前橋市民ゴルフ大会への協賛など、地域とのつながりを大切にした活動が特徴だ。

なかでも特に力を注いでいるのが、2021年からメインスポンサーとして継続支援している社会人野球クラブチーム「富士機工 M.KIDS」。同社では、野球を続けたい社員が選手として「富士機工 M.KIDS」に所属できる仕組みづくりにも着手しており、「働きながら野球を真剣に楽しめる環境」を提供しているという。

前橋市を拠点に活動する社会人野球クラブチーム「富士機工 M.KIDS」(提供写真:富士機工株式会社)

「富士機工 M.KIDS」は、前橋近辺の社会人野球関係者の間では広く知られる存在だ。約30年にわたり前橋の地に根づき、「打って楽しむ」というチームカラーで多くの地元野球関係者から愛されてきた。実は須田社長自身も、入社直後からこのチームに所属している一人だ。

スポンサー支援が始まったのは2021年。当時、M.KIDSは前橋市大会で優勝し、県内約200〜300あるクラブチームの中で唯一、強豪社会人企業チームが集う「上毛新聞社旗大会」に推薦出場を果たした。その健闘を知った当時の藤崎社長(現:会長)が「こんなに頑張っているなら応援しよう」と声をかけたことが、スポンサー支援のきっかけだったという。

M.KIDSは、自由さとクラブチームならではの競技力を併せ持つ。「楽しんで、個人の長所を活かして勝つ」そんなチームカラーは、監督やメンバーの個性を尊重する伝統から生まれている。須田社長も大学卒業後、企業チームからの誘いを断って富士機工へ入社し、M.KIDSを選んだのはこのチームカラーが魅力的だったからだ。「休日にまでルールや規律を重視した“仕事のような野球”はしたくなかったんです。心から楽しめる野球をするならM.KIDS。そう思ったんです」と微笑む。

その後、チームは2023年に前橋市Aクラス唯一のクラブチームとして活躍。群馬銀行などの企業チームを破って前橋市大会を制し、県大会ではベスト8入りを果たす快挙を達成。クラブチームとして県上位に食い込む実力を証明した。さらにその年は関東大会にも出場し、強豪クラブチームと肩を並べるまでに成長した。

地域に根付き、数々の野球大会で表彰を受ける『富士機工 M.KIDS』

現在は主力メンバーの世代交代を進めながら、富士機工株式会社の社員が野球チームにも所属できる連携体制に力を入れる。地域に根ざした企業とクラブチームが一体となり、前橋でスポーツ×建設業の相互発展に繋げる狙いだ。

「社会人になっても群馬で野球を続けたい人たちが、富士機工に来れば“仕事のスキルを磨きながら、大好きな野球も続けられる”と知ってもらいたいですね。チームに所属する選手にはユニフォームをチームの経費として負担しています。バットなども最新モデルを随時購入してチームに提供しているので、金銭的な部分で野球を続けるのが難しい方にとっても良い環境だと思います。高校・大学で野球を頑張ってきた学生の皆さんには、ぜひ一度見学に来てほしいですね。もちろん未経験から建設業の仕事に挑戦したい元球児やスポーツ好きな方も大歓迎です!」と須田社長は呼びかける。

地域のスポーツ支援と人づくりに情熱を込めて話す須田社長

新卒初任給アップ・SNS活用・DX化まで積極的な改革を推進。5年・10年後を見据えた会社の挑戦

また、須田社長は①従業員の給与アップ②休暇を取りやすい職場環境の整備についても話す。今年から従業員の給与アップと休暇を取りやすい職場環境の整備に向け、すでに大きな変革を実行しているという。

まず給与面では、新卒社員の初任給を大幅に引き上げた。2026年度入社の高卒社員は基本給30万円、大卒社員は基本給35万円。これに加え、手当や賞与も充実しており、高卒初年度年収は約400〜450万円、大卒初年度は約450〜500万円(残業代・夜勤手当は別途支給)に水準を上げた。さらに、入社後の資格取得費用は100%会社負担で、社員のスキル向上も引き続き支援する。

◎新卒・既卒者の募集内容◎
https://en-gage.net/fujikiko/work_15130948/?via_recruit_page=1

求人サービス、 SNSなどで幅広く若手採用の募集をかける

さらにキャリア支援と働きやすさの整備も行う。年間休日は105日をベースに、有給を取りやすい環境を整備し、誰かが休んでも仕事を補完し合える組織体制作りに着手。今年から未経験の若手社員の積極採用と育成に取り組む方針を掲げる。近い将来は、「たくさん働いて30-40代で年収1000万円を目指す人」と「給料は抑えつつ休暇を重視したい人」の両方が、自分に合ったキャリア設計を実現できる組織制度にしていきたいと意気込む。

また、SNSを活用した情報発信やDX化による業務効率化にも着手している。書類作成や検索・保管業務の効率化、オンラインでの作業指示書や図面の共有など、働く環境の業務効率化を進める。合わせてSNS活用による情報発信も積極的に行い、今後は建設業界の魅力なども発信していく予定だ。

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須田社長の想い「前橋に根ざし、家族や友人に話したくなる会社をつくりたい」

「建設業界の仕事の魅力は、自分が手がけた仕事を誇れることだと思っています。年齢を重ねたとき、関わった建物のそばを子どもや孫と通ったら、『これは自分が関わった仕事だ!』って胸を張って言えるんです。私自身も、そういう会長や社員の姿を見てきましたが、自慢している時の男の人って本当に幸せそうに見えるんですよ。個人的な解釈ですが、奥さんや子どももその姿を見たら、『お父さん、仕事してて幸せなんだな』って自然に伝わると思います。だから、私自身もこの仕事に誇りを持っています。もちろん大変なことも多いですが、もっともっと社員全員が誇りを持てる会社にするため、今頑張ってくれているスタッフはもちろん、新たに入社してくれる若い人たちと一緒に頑張りたいですね。」

最後に須田社長は野球や前橋への想いも続けて語る。

「子どもの頃から前橋で野球を続け、大学でも青森大学の硬式野球部で毎日野球漬けでした。だから社会人になっても野球を続けたい若い人や学生の力になりたいんです。野球が好きな人、スポーツが好きな人とのつながりを広げて、前橋から新しい建設会社のモデルを作っていきたいですね」。

【企業プロフィール】
会社名:富士機工株式会社
ホームページ:https://fujikiko.work/

(代表プロフィール)
代表取締役:須田 昂洋
1995年生まれ 前橋市出身
大学卒業後、家業の富士機工株式会社に入社。未経験から空調や冷蔵設備などの重量物を扱う現場のプロフェッショナルとして経験を積み、2023年代表取締役就任。小学生から大学まで打ち込んだ野球部での経験を活かし、社会人野球チーム「富士機工M・KIDS」のメインスポンサーも務める。2023年度は県大会優勝。

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