「富岡シルク」が地域団体商標に登録!伝統と品質の未来への継承を目指す
(一社)富岡シルク推進機構(群馬県富岡市)は、2024年4月に申請していた「富岡シルク・TOMIOKA SILK」が、特許庁により地域団体商標(地域ブランド)として正式に登録されたことを発表した。一般社団法人による取得は全国で2例目となる。これにより、富岡の名を冠した絹製品の品質と信頼性が明確に示され、地域の伝統を守りながら国内外に向けて新たな価値を発信していくことが期待される。
背景には、日本の絹産業が直面する厳しい現状がある。1968年にピークを迎えた繭生産は減少の一途をたどり、現在では国産生糸の国内シェアが0.13%を下回る危機的状況となっている。群馬県富岡市は国内で最も養蚕農家数が多い地域であり、現在12戸が年間5回の繭生産を行っている。2024年度の繭収穫量は4.7t、2025度は6.5tを予定しており、さらなる生産拡大を図り、今回の登録が目指された。
これにより、製品には生産履歴を明確に示した「富岡シルクブランドマーク」や、特に優れたデザイン性を認められた「プラチナマーク」が交付されるように。同機構は、「富岡シルク」の品質と信頼性を明確に示すこと、模倣品からブランドを保護すること、持続可能な産業としての振興を推進することを推進。会員制度を通じてブランド基準に賛同する個人・企業と連携し、純国産絹製品の普及拡大に努めていく。
シルクは夏は涼しく冬は暖かい特性を持つ天然素材であり、抗紫外線や放湿性にも優れることから、繊維産業のみならず化粧品分野でも注目されている。しかし、純国産絹製品の市場シェアは0.1%を下回っており、需要拡大が不可欠である。今後は、国内外への広報活動や販路拡大、産地連携の強化に加え、観光や教育分野との連携プロジェクトを推進し、地域全体の魅力発信にも取り組む予定だ。
同シルクの普及は、養蚕農家の存続と日本のシルク文化の継承に直結するものであり、地域ブランドとしての価値を高める取り組みが続けられていく見通しである。