【群馬県 | スタートアップ支援プログラムRAITO2023中間発表会】採択企業5社が進捗状況を発表!メンター陣と取り組む2か月間で見えた課題や苦悩、今後の展望とは (連載企画/第2回)

 2023年10月10日にキックオフとなった、起業家を支援する「ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラム(RAITO)2023」。採択者5社を追う連載企画の第2回は、2023年12月13日に行われた中間発表会の様子を紹介する。キックオフから約2か月間で見つかった課題や苦悩、そのリアルな想いをお届けしたい。

NETSUGENとオンラインで現状の課題や進捗状況を発表

メンターと二人三脚で介護福祉分野での競合優位性の確立を目指す!【ソーシャルムーバー株式会社】

大江 一徳さん
プラン名:「介護福祉分野のクロスモビリティ事業」
https://social-mover.co/

オンラインで参加の大江さんは着実に販路を拡大している様子を発表

 同社は介護分野から「送迎」を分離し、介護タクシー事業者にアウトソーシングするビジネスを展開。送迎を必要とする介護施設は全国に5万施設以上あり、大きな市場を目指せる分野だ。現在既に50以上の介護施設に導入実績があり、デイサービス運営事業者として計画送迎者の分析や乗客のマッチングなど独自のサービスを持っている。

大江さんはRAITOを通してプレゼンやピッチの重要さを改めて認識したという。サービスを普及させるためには資金調達が必須。必要な支援を受けられるよう、メンターやセミナーを通してプレゼン資料の構成や話し方など、一人では気づけなかった視点からアドバイスをもらえたことがありがたかったと話している。

残りの支援期間では、民間だけでなく政府や自治体との協力を深め、既存の競合他社やこれから参入してくるであろう競合他社に対する優位性の確立をメンターと共に検討していく。

北海道から九州まで全国50以上の介護施設で導入される

「着物アート」の着実な販路開拓とプロモーション強化の課題を語る【tomokimono】

阿部 智子さん
プラン名:「着物革命 伝統と革新の融合」
https://www.tomokimono.com/

NETSUGENをイメージした実際の着物ART ※群馬県庁32階にて展示中

 同社は中古着物をアートとしてアップサイクルし、海外に向けて販売するというプランを掲げている。毎年34万トンもの着物が廃棄されている現状があり、アップサイクルでこの廃棄着物を無くしたいという想いだ。

当初、デジタルを活用した「NFTアート」としての販売やメタバースを活用した販売も視野に入れていたが、メンターのアドバイスを受け今はやらないことに。RAITOの期間中はリアルでの自分の強みを生かし、実績を積み上げていくことにした。

現在、群馬県内の旅館やホテルなど3件の委託販売先が決定。また、海外との交流の品として使ってもらえるよう大使館や在外日系企業、団体にも営業し、1件の受注が決定するなど自らの足を使い着実に販路を開拓している。

阿部さんが現在の課題としている事が「プロモーション」だ。着物アートを知ってもらう、発信することの難しさを感じているそう。今後はメンターや支援機関と連携しながらネットワークを広げ、「着物アートといえばtomokimono」というくらい認知度を高めていきたいとのことだ。

6.7兆円規模の市場で「着物アート=tomokimono」のブランド認知を目指す

在庫管理システム「クイックタグ」販売に切り替え、1400万円の融資調達に動く【かまちょっかい株式会社】

金城 拓登さん
プラン名:「小規模事業者向け 生産管理システム」
https://kamachokkai.com/

大きく舵を切った金城さんは積極的にPDCAを回している様子を発表

 同社はLINEを活用した生産管理システム「Wakno」の利用普及を目指している。小規模事業者向けに機能を絞りリーズナブルな価格で簡単に利用できるシステムであり、キックオフ以降、群馬県内の製造業や生産管理システムを販売している企業に訪問を行い製造現場の生の声を聞いてきた。

その中で浮かび上がってきた問題が、「システム導入の難しさ」だ。ニーズはあるものの、基幹システムと重複する機能が多いという点がビジネスとして売っていくためには大きな障害となって立ちはだかった。

そこで、大きく舵を切ることを決意。開発中の在庫管理システム「クイックタグ」を販売する方向に転換した。クイックタグはQRコードが印刷されたシールで、商品情報をQRコードに登録して販売する。注文者はクイックタグを商品が入っている段ボールなどに貼り、スキャナーで読み取ると中に入っている商品の数(在庫数)が分るという仕組みだ。

クイックタグはこれから開発していく商品。運転資金として2024年4月までに1400万円の融資を受けたいとしており、今後は市場経済性の分析など事業計画書を練っていくことが課題となる。金城さんは群馬県の起業家や経済団体と関わりながら、製造業の盛んな長野県でのベンチャーサミットに参加するなど意欲的に人脈づくりを行い、プランの成功へとつなげたいとしている。

現場に寄り添った生産管理ツールを月額1万円で提供

地酒のふるさと納税エントリー。今後はメンター陣と事業計画のブラッシュアップ【群馬SAKETSUGU】

清水 大輔さん
プラン名:「地酒を核とした関係人口づくり、プラットフォームビジネスの構築」
https://www.gunma-saketsugu.jp/

なんでも相談できるメンターと二人三脚でマネタイズを目指す

 同社はふるさと納税を通じて群馬の地酒を広め、関係人口を拡大するプランを進行中だ。地酒と食、伝統工芸品のセットを12月に販売する予定でキックオフから動いており、現在総務省の審査中となっている。この審査が今年から厳しくなっており、清水さんは「リサーチ不足により滑り込みギリギリになってしまったことが反省点」と話している。

また、酒蔵見学をYouTubeのライブ配信で行うことで他社との差別化を図るプランであったが、リアルが目まぐるしく動いている現状を踏まえメンターと相談した結果、時間を気にせず観ることができる動画をYouTubeにアップすることにした。

この事業は清水さん一人で手探りで始め、他の人から見たら小さなことでもつまずきながら進めてきたという。RAITOに採択されてからは一人で悩んでいたこともメンターに相談したり、支援機関からアドバイスを受けることで中長期的な目標をたてることができた。今後はさらに事業計画をブラッシュアップし、収益を出すための方法を確立したいとしている。

エントリー中のふるさと納税では群馬の地酒や食、伝統工芸品セットなどを販売予定

「ナイトウォークプロジェクト」安中市で2024年3月にオープン決定!世界進出できる強力なコンテンツを目指し、営業力強化を課題にあげる【株式会社Sunset films】

井埜 涼太さん
プラン名:「観光コンテンツ創生 ナイトウォークコンテンツ事業」
https://sunsetfilms.co.jp/

中国からの参加となった井埜さんは営業力強化を目標に掲げる

 同社は自然を生かし、プロジェクションマッピングを活用しインタラクティブな体験を届ける「ナイトウォークコンテンツ事業」を普及させていくプランを進めている。

ナイトウォークとは、ストーリー展開を楽しめる没入型の体験。映像や照明による演出を行い、自然と融合した新しいコンテンツだ。他にはない体験価値とともに周辺観光地への波及効果や、地域の雇用創出にも貢献することができ、すでに安中市で2024年3月にオープンが決定しているという。

制作費の面で大きな資金を必要とするプランだが、サブスクリプション型で売上を上げる事で初期費用を抑えられるようなシステムを採用し、資金面での安定を確保している。

RAITOを通して見えた課題は、強みの見つけ出しや営業の弱さ。今までは口コミを中心に事業拡大をしていたが、ナイトウォーク事業という新しい分野を広げていくためには営業力の強化が必要不可欠だ。「群馬県から世界へと進出するような強力なコンテンツを目指す」ことが井埜さんの目標の一つ。現在メンターのアドバイスをもとに営業ツールを作成しており、目標を達成するために自社の強みを徹底的に分析して県内の観光関係企業や自治体へ積極的に営業を展開していきたいとしている。

その土地の歴史や魅力を活かした物語を歩きながら楽しめる『没入型ナイトウォーク』

2024年3月成果発表会に向けて、5社がさらに事業加速!

 キックオフから約2か月、メンターによる支援や壁打ち、セミナーなど手厚いサポートにより各社の事業がより具体的になり、リアルな課題や葛藤が見て取れる中間発表会となった。次回は2024年3月に行われる成果発表会。5社が課題を乗り越え、どのような成長を遂げていくのか。引き続き追い続けていく。

メンターと支援機関が一丸となって採択者5名を最後までサポート

ぐんまスタートアップアクセラレーションプログラム(RAITO)2023
プログラムの紹介記事はこちら
https://kitakanto.localbook.work/2023/09/15/gunma-accelerator-program-raito1/

連載企画第1回キックオフイベント開催記事はこちら
https://kitakanto.localbook.work/2023/10/20/gunma-accelerator-program-raito2/

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