群馬県庁の32階がデジタルとスタートアップの先進地に!!オープン2年で官民共創スペースNETSUGENから多くのイノベーションが生まれる理由とは?

 2020年に群馬県庁の32階に誕生した官民共創スペースNETSUGEN。コワーキングスペースとして利用でき、最新の技術を取り入れたセミナースペースを有していることから、県内外の企業やNPO法人、大学や地域のベンチャー企業など120者が現在月額会員となっている。そして近年、この場所で新たなイノベーションが数多く生まれていることはご存じだろうか?「人とつながる、新たなアイデアが生まれる官民共創スペース」をコンセプトに群馬県庁が仕掛けるこの取り組み。今回編集部では、NETSUGENの役割や運営ビジョン、サポート体制などを群馬県デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略課NETSUGEN室の宮下智さん、町田歩美さんのお二人に伺った。

デジタルとスタートアップの先進地「NETSUGEN」

 群馬県は大学などの教育機関や企業、行政などが連携し、新事業の創出と地域課題の解決を進める「官民共創」をテーマに現在変革を進めている。また、2019年に全国に先駆けて群馬県庁内にデジタルトランスフォーメーション (DX)戦略課を設置し、全国トップクラスのデジタル県を目指すことを掲げている。これらの取り組みを進める上で、社会変革の拠点として群馬県庁舎32階を有効活用して2021年1月オープンしたのが「NETSUGEN」だ。

宮下さんは「NETSUGENにはアイデアを形にしたい人や企業が多く集まり、様々な交流やコラボレーションが生まれています。開設から2年で月額会員数も120者と順調に推移し、またセミナーは年間300回を上回るペースで開催され、毎日多くの人で賑わっています。」とNETSUGENの現状を話す。

町田さんは「NETSUGENの柱としてスタートアップ支援があり、会員には群馬で起業を考えている方や事業をされている方、サポートをしたい方も多いです。みなさんに共通することは『やりたいことや新しいアイデアを持っている』ということです。新たな交流が生まれ、会員同士がつながることで、群馬から日本・世界をより良くする取り組みにつながれば」と語る。

会員同士が繋がり、ビジネスマッチングやスタートアップ支援が実現

 NETSUGENでは群馬県庁の宮下さん、町田さんら職員のほか、コーディネーターがイベントや交流会などを通じて会員同士をつなげる取り組みも積極的に行っている。その成果としてオープン2年で数多くのコラボレーションやビジネスマッチング、スタートアップ支援が実現している。

町田さんは「NETSUGENは資金調達やビジネスマッチングはもちろん、会員同士から生まれたアイデアの実証実験の場としても活用できます。代表的な例としては、株式会社駐車場をさがせと株式会社富士機械、株式会社Sunsetfilms等がコラボ開発した『イノベーション自販機』があります」と説明する。

宮下さんはさらにイノベーション自販機の詳細に触れ、「NETSUGEN会員が開発した商品が並び、ブランディングまで含めると10社以上がコラボしています。商品に付けたQRコードでアンケートの回答ができるので、テストマーケティングが可能です」と話す。

また、ビジネスマッチングの例としてはザスパクサツ群馬と会員企業のコラボレーションなどもある。NETSUGEN主催でザスパクサツ群馬のマッチングイベントを開催したことで、オフィシャルパートナーになる企業やサッカーの試合会場に会員企業が出店するなどコラボが実現している。

さらに、オリーブ製品を開発する農業系スタートアップの株式会社ジャングルデリバリーは、NETSUGENでのイベントを通じて東和SBIファンドから資金調達に成功し、事業を拡大している。  

他にも、NETSUGEN会員同士の共同開発の事例として、生産ラインを持たない株式会社バースケア社が企画した速乾性のあるバスマットを、板金加工をコアとする会員企業の製造ラインで受注製造することで、商品化を進めている例がある。

交流のきっかけづくりやデジタル人材育成の場としても活用

 NETSUGENのセミナーはデジタル人材の育成やITリテラシー向上をコンセプトにした企画も数多く行われている。例えば群馬大学数理データ科学研究センターの中村賢治氏による国家資格「ITパスポート」取得に向けた講座の開催もその一つだ。これまで合計7回の講座にのべ300人が受講し、人気を博している。

その他にもセミナーは各会員ユーザーの得意分野を生かした内容が多く、交流とリフレッシュを目的としたヨガ講師によるヨガ講座や、フリーアナウンサーの竹下裕理氏によるInstagramを通じた発信力強化の講座など多岐にわたるセミナーが開催されている。

NETSUGEN室職員やコーディネーターによる手厚いサポート体制

 群馬県NETSUGEN室職員の4名と業務委託先の有限監査法人トーマツのコーディネーターが連携して親身なサポートを行っていることも特徴の一つだ。

町田さんは「会員さんがやりたいイベントやアイデアを相談していただければ、コーディネーターや私たちが実現のために群馬県庁内の部署や会員同士を繋げます。また、イベントやセミナー実施の際には具体的な配信方法や運営まで一緒に伴走させていただきます。できる限りのサポートを心掛けているので、ぜひまずは相談してほしいです」と積極的な活用を呼びかける。

現在120者ほどの月額会員は個人と法人で半々くらいという。法人会員には地元群馬県内の企業を中心に上毛新聞や群馬銀行、ジャーナル印刷、総合PR、さらにはIT大手のサイバーエージェントやJR東日本企画なども名を連ねる。また、群馬県内各地のコワーキングスペースとの連携を進めており、NETSUGEN会員の方は提携施設を無料で利用できることも大きなメリットだ。  

宮下さんは「月額会員のメリットは提携している県内コワーキング施設の利用、最先端の設備を利用したハイブリットセミナーの開催、デジタルサイネージ広告、会員限定交流会・セミナーへの招待など数多くあります。今後は県外とのコラボイベントなども増やす予定で、昨年11月には、東京都の創業支援機関「NEXs Tokyo」との共催イベントも実現しています。今後も積極的に各方面との連携を進めて、会員にさらにメリットのある場所にしていきたいです」と今後の展望を語った。

今後は資金調達を目的としたファンディングピッチイベントなども開催!

 2023年以降はさらに多くのセミナーやイベントを展開していく予定だが、注目は2023年2月15日に初開催する資金調達を目的としたファンディングピッチイベント。現在参加を募っているとのことだが、このピッチをきっかけに群馬県のビジネスをさらに活性化していく狙いがあり、こうしたイベントは今後も増える予定だという。

「人がつながり、新たなアイデアが生まれる」拠点として着実に育っている官民共創スペースNETSUGEN。セミナーなどのイベントは無料開放しているものも多いので、群馬県のビジネスの最先端を知る場所としてぜひ一度訪れてみてはどうだろうか。(取材・ライター 神庭 真志)

〇ファンディングピッチイベント詳細
https://netsugen.jp/event/e00002741/

〇今後の開催セミナーはこちら
https://netsugen.jp/event/

〇過去のアーカイブ動画はこちら
https://www.youtube.com/@netsugen4797

〇NETSUGEN利用プランはこちら
https://netsugen.jp/plan/

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