地域パン文化を未来へつなぐ取り組み!老舗パンメーカーとパンフォーユーが連携し流通モデルを構築

 2025年12月10日、株式会社パンフォーユー(群馬県桐生市)は、創業74年の老舗パン屋・さわや食品株式会社(富山県射水市)と提携し、同社のパンをオフィス向け福利厚生サービス「パンフォーユーオフィス」で取り扱うと発表した。パンフォーユーが持つつくりたてパンの品質を保持する冷凍技術と、全国のオフィスへ届ける流通網を用いて、地域で親しまれてきた味を県外へ届ける取り組みとなっている。

地域パン文化を未来へつなぐ取り組み!老舗パンメーカーとパンフォーユーが連携し流通モデルを構築

パンフォーユーオフィスは、冷凍庫を設置するだけで地域パン屋や地域パン工場の手づくりパンをオフィスでいつでも食べられるようになる福利厚生サービスである。企業規模やオフィスの広さに関わらず社員食堂の代わりとして導入でき、これまで400社以上に導入。冷凍パンの購入価格を企業が半額負担し、社員は安価に購入できる仕組みを採用している。「置きカフェプラン」では、パンフォーユーが冷凍庫運用から冷凍パンの補充作業まで実施し、食事パンや惣菜パン、おやつパンなど各地から集まる最大8種類を月替わりで届ける。契約形態は法人契約である。

提携の背景には、地域パン屋を取り巻く環境変化がある。富山県内で学校給食向けのパンを製造する企業は、かつての43社から6社へ減少しており、地域に根ざしたパン文化の継続が課題となっている。さわや食品は学校給食や老人ホーム向けの供給に加え、富山ならではの文化や気候を踏まえ、地元の食材を使った製品を重視。地元の人が慣れ親しんだ「お袋の味」に合う商品づくりを続けてきた。

代表商品には、地域特有の北前船文化に着目して開発され25年以上販売される「昆布パン」、販売開始から約50年の歴史を持ち県内トップの売上を誇ったこともある「コーヒースナック」がある。また、カステラにホイップクリームといちごジャムを挟んだ「スパニッシュカステラ」も人気が高い。パンフォーユーはこれらの商品を冷凍状態で各企業へ届け、必要なタイミングで解凍して喫食する仕組みを開発し、製造地から離れた場所でも品質を維持した提供を可能としている。地域パン屋の製造背景や商品特性を尊重しつつ、生産効率化と販路拡大の両立を支える取り組みの一例と言えるだろう。

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